workflow

ディレクション編集業務について
出版経験が長く紙媒体を得意としていますが、ディレクション・編集の本質は紙に依らないと考えているため、メディアに関わらず情報を扱う業務全般を承っています。

ディレクション・編集という仕事は大きく3つのフローに分けられます。

① 企画
② 構成・演出
③ 進行管理

このうち、あすなろ組が特に得意とするのは②構成・演出③進行管理です。

②構成・演出に際して重視しているのは、小手先の仕事で終わらせないための深度を備えた思考です。
編集(あるいは広義のデザイン)は情報をただ並べただけであっても、見た目が派手だったり小綺麗であったりすれば成立しているように見えるものです。しかしユーザーに情報を本当に効果的に伝えるためにできることは、驚くほどたくさんあります。そこであすなろ組では、メディアや扱う情報の特性、対象とのマッチングという根本に立ち返って考え、それを具現化するための思考を常に意識しています。

具体例 1

まず、2019年3月に発売されたムック『VISIBEL by atmos AIR MAX MAGAZINE』(三才ブックス)の構成・演出について説明します。

本書に求められたのは「スニーカー好きの若者にリーチする雑誌を作ること」でした。
真っ先に立ち上がったのは「そもそも若者は雑誌を読むのか?」という疑問です。言うまでもなく、雑誌はあまり若者に読まれていません。それどころか、世代に限らず雑誌を読まないのが当たり前になっています。Webではほとんどの情報が無料なのに紙になっただけで金銭が発生すると考えるのは、虫が良い話なのでしょう。

そこで本書では、雑誌に情報を載せないという方策を採ることにしました。代わりとして、文章や写真に情報以上の価値を持たせ、コンテンツ化した上で掲載する。文章と写真を組み合わせた「情報」が載っていた紙媒体がこれまでの雑誌であるならば、文章や写真がそれぞれ“コンテンツ”として載っている紙媒体がこれからの雑誌なのだと、再定義したわけです。さらにはARアプリで誌面をスキャンすることで観られる専用ムービーも用意して、紙に載せる
コンテンツ”をテキスト+写真+ムービーの3種類に拡張しています。多様なコンテンツが交錯するハブとしての役割を、紙メディアの『VISIBEL by atmos』に担わせることにしました。

それに伴い、80文字程度のリード文や約400文字の本文、80〜120文字の商品説明文、小さな写真とそれに付随する60文字程度のキャプション……といった
情報誌の定番”たちの存在理由を見直しました。400文字の薄い情報を20個載せるよりかは、8000文字の読み物を1つ掲載する方が読み応えのあるコンテンツたり得るはずです。写真もできる限り大きく扱い文字と組み合わせないことで、情報の一部ではなく、エモーションを喚起する表現としての役割を大きくしました。合わせて、編集側の意図に向けて読者を誘導するようなリードやキャッチといった類いのテキスト群も、インタビュー原稿や写真から可能な限り廃しています。

インターネットでは、情報やコンテンツといった素材群の価値が、ユーザーのセンスと情動によるフィルタリングで決めらていきます。編集は各自に委ねられており、自分以外の他者に編集された情報はあまり歓迎されません。ターゲットとする若者は、そのようなメディア環境に馴染んでいることでしょう。そうした情勢を鑑みて、本書では「編集されていない素材がゴロッと投げ出されている……ように見える編集」を
構成・演出として施しています。

具体例 2

次に、第一電材株式会社様の新卒就活生に向けた小冊子を例に挙げます。

求められたのは「①新卒就活生に魅力的な仕事だと思わせること」と「②会社および業界について知ってもらうこと」の2点です。
新卒就活生向けの小冊子としては、先輩インタビューと会社・業界紹介ページを組み合わせるだけでも成立するかもしれません。とはいえ上記2点を貫く柱のようなものがあれば、企業の魅力をよりいっそう伝えられる小冊子になるはずです。そこで、この異なる2要素をつなぎ合わせるためのアイデアこそが本冊子の構成・演出の肝になると判断して、作業を進めました。

こちらの企業様は独立系の専門商社ということで営業職が花型であり、就活生の大半は将来の営業職登用を意識しています。そして営業における主役は、人そのものです。であれば、先輩がハツラツと働く姿を
就活生に見せて、彼ら彼女らがすごい人間・魅力的な人間であると伝えて「自分も先輩のようになりたい」と思わせることが、「①新卒採用者に魅力的な仕事だと思わせること」に直結すると考えました。同時に、人物に焦点を当てて、それを物語として面白く読ませることができれば、現時点では同社にあまり興味がない就活生の関心もひきやすくなるはずです。
こうして、ただのインタビュー記事ではなく、スポーツ誌『Number』のようなドキュメンタリー調テキストによって先輩の仕事ぶりを伝える、という基本案が導き出されました。

続けて「②会社および業界について知ってもらうこと」をクリアする方法を考えました。

未知の事柄に興味を持ってもらいつつ紹介していく手法の1つに、Q&A方式があります。ありきたりとも言えるこの形式を上手く本冊子に転用できないかと頭を悩ませていたところ、「本来はA(回答)に出てくる数字だけを提示して、読み手に問いかける形の“Q(質問)”にできないだろうか?」という閃きが浮かびました。
会社や業界に関する数字だけを見せてQ(質問)”とすれば、見慣れない数字で就活生の注意を引くことができます。驚くほど大きな数字が売上や市場規模などを示していれば、すごさ(業界の魅力)もわかりやすく伝えられるはずです。また、Q(質問)”となる数字を誌面上に大きくあしらえば、デザイン上のアクセントにもなりえるでしょう。何より、数字だけをパッと見せてすごさを伝えるという手法は、「①新卒採用者に魅力的な仕事だと思わせること」の目標である“先輩のすごさを伝える”ことにもそのまま転用可能です。就活生には考えられないような先輩社員の仕事にまつわる数字を見せることで、先輩社員のことをすごい人間・魅力的な人間として効率よく伝えられるに違いありません。

以上の推移を経て、“大きな数字”を軸にした構成で新卒就活生向けの冊子が完成しました。
大きな数字のアイデアは、①と②を効果的に伝えるだけでなく、①と②に繋がりを持たせて冊子全体の統一感を生み、デザイン上のアクセントにもなるという、一石三鳥の構成・演出だったと自負しています。

ライター・執筆業務について

ライターという職業は0から1を生み出す仕事であり、1を膨らませる編集の仕事とは別物だと考えています。その意味では、あすなろ組は生来のライター・書き手ではありません。
また、文章が湯水のように頭から流れ出てくるわけでもなければ、人よりも特別に詳しいジャンル・分野を持っているわけでもありません。本サイトで紹介している過去の実績、例えばキャンプやスニーカー、禅、両利き等々のいずれのジャンル・分野についても、私よりも詳しいライター様はたくさんいらっしゃいます。

これらを踏まえた上で、あすなろ組によるライティングの強みを書き出すと、以下の2点になるでしょうか。

① 調べて学べる = どのようなジャンル・分野でも執筆対応可能
② 文章精度が高い = クライアント側での原稿修正が最低限

どちらも、編集者兼ライターだからこその利点と言えます。

編集業務で構成・演出を行う際には、著者様やライター様をはじめとする識者の方からヒアリングをしたり取材をしたりする中で、対象ジャンルについて学び、理解する必要があります。それゆえ、興味の有無や個人の嗜好を越えて、対象を調べて学ぶ訓練をしてきました。この経験をライター業に応用することで、驚くほど詳しい……というのは厳しいですが、一般の方にかみ砕いて説明するような文章であれば、どのようなジャンル・分野でも執筆可能です。

また、編集業務の一環としてライター様からいただいた原稿を修正してきた経験を活かし、自身で書いた原稿も同等のチェックを行ってから提出しています。納品されるのは編集チェックを一回通った原稿になるので、クライアント様側での修正量は、通常よりも少なく済むはずです。

上記を踏まえると、企業様のサイトやパンフレット等のライティングを特に得意としていることがおわかりいただけるはずです。専門性が高いために、自社の業務について書けそうなライターがなかなか見つからない、といったお悩みをお持ちの場合は、あすなろ組にぜひお声がけください。


最後に、文章の巧拙・クオリティについては本サイトの各文をお読みいただくのが早いでしょう。
リズムの良い、読みやすい文章を心がけているつもりです。